2023 年 64 巻 2 号 p. 102-106
症例は35歳女性,22歳時に慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia, CML)と診断されBCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitors, TKI)治療を受けた。4年間のdeep molecular responseを得てTKI休薬下での自然妊娠を計画した。妊娠時点でMR2.0となったものの,患者背景を考慮しinterferon α治療を開始し,MR3.0~4.0を維持して健常児を出産し,約半年間の授乳後にTKIを再開した。TKIによってCMLの予後は大きく改善した。TKIには流産や催奇形性リスクがあることから,挙児希望のあるCML女性患者の妊娠・出産に対してはtreatment-free remissionを試み,病勢コントロール,患者背景を踏まえた総合的な配慮が必要である。