臨床血液
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症例報告
多中心性キャッスルマン病を合併しプレドニゾロンが奏効した赤芽球癆
新井 康祐迎 純一秋山 めぐみ熊谷 二朗山本 晃
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2020 年 61 巻 2 号 p. 122-127

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抄録

症例は76歳男性。息切れを契機に貧血を指摘され,当院に紹介された。網状赤血球と骨髄赤芽球の著減などから後天性赤芽球癆と診断した。CTでは両側肺野の斑状のすりガラス影と多発性縦隔リンパ節腫大を認めた。縦隔リンパ節生検により,idiopathic multicentric Castleman disease plasma cell type(iMCD PC type)と診断した。シクロスポリンを6週間投与したが効果はなく,プレドニゾロンに変更したところ,2週間後に網状赤血球が増加した。同時に肺野のすりガラス影は改善し,縦隔リンパ節腫脹も縮小した。赤芽球癆とCDを合併した症例は今までに3例報告されている。本例と同様にMCD PC typeと赤芽球癆の合併例は,いずれもステロイドを含んだ治療により網状赤血球の増加が得られている。赤芽球癆は第一選択にシクロスポリンを使用することが多いが,MCD PC typeとの合併例はステロイドを含む治療の方が有効である可能性がある。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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