臨床血液
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症例報告
自家末梢血幹細胞移植後にボルテゾミブとデキサメタゾンの併用療法で著明な肝腫大が改善した全身性ALアミロイドーシスを伴ったBJP型多発性骨髄腫
長町 康弘山内 尚文村松 博士宮島 治也猪股 英俊岡本 哲郎野澤 えり後藤 義朗小山 隆三井原 康二西里 卓次加藤 淳二
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2015 年 56 巻 3 号 p. 323-328

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抄録

症例は51歳男性。2012年1月,右上腹部痛,背部痛を主訴に外来受診。触診で肝臓を6横指触知する著明な肝腫大あり。採血では胆汁うっ滞性肝機能障害を認めた。原因検索のため,肝生検を施行し,アミロイドーシスと診断。骨髄検査で,形質細胞は15%と増加。尿中電気泳動でBJPκ型のM蛋白が検出された。以上からBJPκ型多発性骨髄腫に伴う全身性ALアミロイドーシスと診断した。ボルテゾミブ,デキサメタゾン(BD)療法を行い,自家末梢血幹細胞移植併用メルファラン大量療法を施行。移植後,血液学的奏効VGPRを得,肝腫大は縮小したものの軽度であり,ボルテゾミブ,デキサメタゾン療法を施行した。ボルテゾミブは1.3 mg/m2/day (day1, day15)とし28日を1コースとした。2014年6月現在22コース施行し,肝臓は正常大となり,臓器奏効を得ている。著明な肝腫大を伴う全身性ALアミロイドーシスの症例が,治療により肝腫大が正常化した報告は少なく,文献的考察を含め報告する。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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