日本胸部疾患学会雑誌
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空洞化をきたした慢性進行性肺サルコイドーシスの1例
財前 智一荘田 恭聖杉本 峯晴松本 充博興梠 博次山崎 寿人坂田 哲宣税田 直樹安藤 正幸荒木 淑郎
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1992 年 30 巻 8 号 p. 1589-1593

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抄録

症例は生来健康な男性で22歳時に眼病変と両側肺門リンパ節腫大 (BHL) とをもって発症し, 前斜角筋 (リンパ節) 生検でサルコイドーシスと診断された. その後肺病変が出現し慢性進行性に経過し, 次第に広範な air-space consolidation を認めるようになり, 発症の12年後には多房性の空洞を認め呼吸不全を伴うようになった. 結核菌, 真菌, その他の病原菌は検出されずに空洞近傍よりTBLBでサルコイド肉芽腫が証明された. 肉芽腫病変の増大, 融合に伴って虚血性壊死をきたし空洞化したものと考えられた. ステロイド投与により自他覚所見の著明な改善を認めた. 本症例は若年発症のサ症であっても稀にはこのように進行性破壊性の経過をとり得ることを示している.

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