1987 年 25 巻 1 号 p. 112-118
夏型過敏性肺炎 (夏型HP) において, BALF上清中の抗 Trichosporon cutaneum IgG, IgA, s-IgA 抗体価をELISA法により測定し, その有用性を検討した. その結果, 夏型HPの全例 (9例) において, 肺サルコイドーシスおよび健常者に比し, 有意な特異IgG, IgA, s-IgA抗体価の上昇を認めた. 一方, 無症状の同居家族 (2例) では, IgG抗体価が軽度に上昇していたが, IgA抗体価は上昇していなかった. 以上の如く, 本法は夏型HPの診断にきわめて有用であることがわかった. また, アルブミン値で補正したIgA, s-IgA抗体価は血清中よりもBALF中に著明に高く, かつ臨床経過の推移とよく相関していたことから, IgA, s-LgA抗体は肺で局所産生され, 肺病変に関与しているものと考えられた.