ネットワークポリマー
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亜臨界水分解によるFRPリサイクル技術の開発
中川 尚治卜部 豊之日高 優前川 哲也奥本 佐登志吉田 弘之
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2006 年 27 巻 2 号 p. 88-95

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抄録

浴室ユニットやプレジャーボートなどのFRP (繊維強化プラスチック) はリサイクルが困難で現状ではほとんどが埋立てられている。そこでFRPの樹脂, 無機物を再度, FRP原料として水平リサイクルするためにFRPの熱硬化性ポリエステル樹脂を亜臨界水で加水分解することに着目した。反応温度360℃の条件では分解液中に存在する再利用可能な成分は熱硬化性ポリエステル樹脂全体から見れば20%に過ぎなかった。スチレン架橋部の熱分解を抑制すれば回収率を向上させることが可能であると考え, スチレン架橋部の熱分解温度230℃で触媒を最適化した結果, 熱分解を抑制でき, 加水分解が支配的となる反応にすることができた。その結果, 分解液中に樹脂原料のグリコールとフマル酸がそれぞれ71%, 22%存在することを確認した。また分解液の中から熱硬化性ポリエステル樹脂の75%の重量の固体を析出させることができ, 構造解析を行った結果, スチレン架橋部であるスチレン・フマル酸共重合体であることを確認した。それは機能性高分子原料として再利用できる可能性がある。グリコール, フマル酸, スチレン・フマル酸共重合体と合わせて熱硬化性ポリエステル樹脂の96%が再利用可能な成分として分解液中に存在することが明らかになった。

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