2014 年 49 巻 3 号 p. 231-236
本研究では,3D-CADを用いて市街地を再現し,熱環境シミュレーションツールを用いて緑の熱的快適性の向上効果を分析した。その結果,緑化によるMRTの低減がみられた一方で,街区内や隣接街区に存在する建物の日射遮蔽の影響により元々緑化しなくてもMRTが低い場所が存在することが示された。また,利用不可能な場所で熱的快適性が向上している場合が多く存在していたことから,緑化が必ずしも熱的に快適な利用空間の創出には繋がっていないことが示された。さらに,場所によっては緑化により熱的快適性が悪化していることも示された。さらに,本研究では空間整備を試験的に提案し,シミュレーションを用いて環境改善の効果を評価した結果,現状よりも少ない緑被率であっても,適切な空間改変を行うことで,より高い環境改善を実現できることを示した。