日本公衆衛生雑誌
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健康日本21(第二次)に関する国民の健康意識・認知度とその推移に関する調査研究
杉山 賢明遠又 靖丈武見 ゆかり津下 一代中村 正和橋本 修二宮地 元彦山縣 然太朗横山 徹爾辻 一郎
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2016 年 63 巻 8 号 p. 424-431

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抄録

目的 健康日本21(第二次)の推進のため,国民全体から無作為抽出した集団を対象に,平成25~26年にかけて電話調査を実施し,健康日本21(第二次)に関する健康意識・認知度を調査した。

方法 乱数番号法を用いて,全国の20歳代から70歳以上の10歳年齢階級別に男女各150人,計1,800人より回答を得た。調査項目は1)用語の認知度(「健康日本21」,「健康寿命」,「メタボリックシンドローム(MetS)」,「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」,「ロコモティブシンドローム」,「アクティブガイド」,「WHO たばこ規制枠組み条約」,「スマートライフプロジェクト」),2)健康意識(「最近1年間の健診受診歴」,「喫煙状況」,「健康のために望ましいと思う1日の野菜摂取量」)とし,調査回答の単純集計および性別・年齢階級別のクロス集計を行った。上記1)に対して,「意味を含めて知っている」と「聞いたことはあるがよく知らない」の回答者の割合を認知度とした。また,平成25,26年の年次比較,および男女・年齢階級間比較にはχ2検定を用いた。

結果 平成25年で認知度が高かった上位5項目は,「MetS」(96.2%),「COPD」(51.1%),「健康寿命」(34.2%),「ロコモティブシンドローム」(30.2%),「WHOたばこ規制枠組み条約」(28.0%)であった。年次比較では「健康寿命」,「ロコモティブシンドローム」,「アクティブガイド」の認知度が平成25年より平成26年で有意に高かった。また,「1日の望ましい野菜摂取量」を350 g程度と正答できた割合は,平成25年の41.6%と比べ,平成26年で50.1%と有意に高かった。平成25年で「健康寿命」,「COPD」,「ロコモティブシンドローム」の認知度や「1日の望ましい野菜摂取量」の正答割合は,男性より女性で有意に高かった。また,同年で「MetS」,「COPD」,「健康寿命」,「ロコモティブシンドローム」の認知度や「1日の望ましい野菜摂取量」の正答割合は年齢階級間に有意差があった。

結論 「健康寿命」と「ロコモティブシンドローム」の認知度や健康意識に関わる「1日の望ましい野菜摂取量」の正答割合は,平成25年より平成26年で有意に高かった。また,項目ごとに認知度や健康意識の低かった性や年齢階級をターゲットにした介入が必要であると考えられた。

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© 2016 日本公衆衛生学会
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