日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
免疫抑制療法中に発症したサイトメガロウイルス感染による大腸穿孔の1例
渋谷 雅常前田 清永原 央大谷 博田中 浩明六車 一哉平川 弘聖
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1369-1373

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抄録

症例は76歳,男性。皮膚科疾患に対して免疫抑制療法中,呼吸器感染症により播種性血管内凝固症候群を発症した。サイトメガロウイルス感染を含めた混合感染が疑われ抗菌薬治療を開始したが,出血性胃潰瘍に引き続き消化管穿孔を発症し当科へ転科となった。腹部CT検査の結果,S状結腸の腸間膜側への穿通と診断したが,臨床症状や血液検査値の変化が乏しく保存的治療を開始した。しかし転科後5日目より下腹部痛が出現しHartmann手術を施行した。切除標本の免疫組織学的検査の結果,サイトメガロウイルス腸炎による穿孔と診断された。術後は集中治療管理を余儀なくされたが軽快転院した。サイトメガロウイルス感染は免疫抑制状態の患者でしばしば経験するが消化管穿孔を発症することはまれである。今回われわれは免疫抑制療法中に発症したサイトメガロウイルス腸炎による大腸穿孔の1例を経験したので,診断・治療に関する文献的考察を加え報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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