2016 年 12 巻 p. A31-A40
チュウヒ Circus spilonotus とハイイロチュウヒ C. cyaneus のねぐら環境について,2011年10月から2015年9月にかけて,岡山県の錦海塩田跡地で調査した.チュウヒ類の寝床環境として,下層植生としてスゲが生えていたヨシ環境,ヨシだけが生えていた環境,風によって広範囲に倒れたヨシ環境が観察された.ヨシだけが生えたねぐら環境は,調査期間を通じて多くのチュウヒとハイイロチュウヒが利用していた.一方,チュウヒが利用したねぐら環境には季節的な変化が見られ,7-10月には下層植生のある環境の利用が減少し,風によって広範囲に倒れた環境の利用が増加した.ねぐら環境の利用に季節的な変化が見られた理由として,気温や捕食者,そして植物の生育密度の要因が考えられる.