生産研究
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研究速報
インフルエンザ流行モデルにおける動的ワクチン配分の最適制御問題
山本 浩貴田中 剛平合原 一幸
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2012 年 64 巻 3 号 p. 313-318

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抄録

新型インフルエンザが流行の兆しを見せはじめたときには,感染拡大を抑えるために迅速にワクチンの製造・配分計画をたてて実施することが重要である.インフルエンザワクチンの製造はウィルスの抗原型が特定されてから行われるため,流行初期に十分な量のワクチンを配布することは困難な場合が多く,その時々で使用可能なワクチン数を考慮しながら感染率の異なる宿主集団に対して動的にワクチン配分を行う必要がある.本研究では,年齢構造化インフルエンザ流行モデルを用いて,総死亡者数や総感染者数を最小化するワクチン資源の動的配分問題を考え,最適制御問題として定式化した.最適制御アルゴリズムを用いてこの問題を解くことにより,感染被害を最小化するためには時期に応じてどの年齢層に優先的にワクチンを配分すればよいかが明らかとなる.また,この動的ワクチン配分の最適制御は,新型および季節性インフルエンザの同時流行モデルに対しても応用できることを示す.[本要旨はPDFには含まれない]

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© 2012 東京大学生産技術研究所
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