感染症学雑誌
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総説
帯状疱疹とその予防に関する考察
神谷 齊浅野 喜造白木 公康中野 貴司比嘉 和夫
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2010 年 84 巻 6 号 p. 964-701

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抄録

わが国では帯状疱疹は年間4.15 人/1,000 人で,50 歳以上での発症率は,5.23~7.84 人/1,000 人であり,80歳までに,3 人に1 人が経験するありふれた感染症である.本稿では,水痘と帯状疱疹の関係,水痘ワクチンによる帯状疱疹予防の意義,水痘ワクチンによる60 歳以上の成人での帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛予防の大規模臨床試験について考察した.また,帯状疱疹の予防という観点の研究は1980 年代から行われてきた.そして,水痘患者との接触や水痘ワクチンの接種は,既感染者の水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫を賦活化できることが報告されてきた.これらの一連の研究に続いて,2005 年にOxman らが,帯状疱疹予防ワクチン(ZOSTAVAX)により60 歳以上の成人の帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛を予防できることを報告して,米国や欧州では,帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛の標準的な予防法となったので,それを紹介し,わが国の水痘ワクチンでの帯状疱疹予防の可能性についても考察した.

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© 2010 社団法人 日本感染症学会
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